身辺雑記と、詩について思うこと/田中修子
 
ったかもしれないだろう。
断ち切られたその命、投げ出されたからだ。

そも、イスラエルという地は、神のものではなかったか。反射的に私が祈った神は、この血を流させている神ではない。何かもっと、うつくしい、かなしい、真珠を吐き出す貝や、雨に濡れて輝くイチョウの新芽や、瑞々しく咲く紫陽花のようなもの、一時は本当に廃人だった私をここまで生き延びさせ、回復させ、子を授けてくださったような平凡な奇跡を成し遂げる神に、私は祈る。

親によって傷つけられていい人がいないことを、私はいま知っている。
神や国によって死んでいい人がいないことを、私はいま知っている。

言葉によって何ができるのだろう? 
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