身辺雑記と、詩について思うこと/田中修子
、百円均一の皿が無造作に積まれていて、シンクの中の生ごみにまみれていた。当時の最新のアメリカ式の家族と、当時の最新のロシアの思想だ。まだ働けていたころ、雑貨屋でアルバイトをして、北欧から輸入されたヴィンテージの北欧食器に初めて触れた時の驚きと喜びをおぼえている。
時を経て、擦り傷を重ねた美しい食器たち。
そこから私は一気に骨董好きになり、骨董市などに足を運ぶようになった。-どれも病床に臥す前のことだが。
もちろん、食器は人を殺さない。詩は人を殺した。
それでも、使い古され、細かいヒビがキラキラと入ったようになった古臭い言葉遣いを、磨きなおして使うことはできないだろうか。
-想え。
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