身辺雑記と、詩について思うこと/田中修子
の違いはいったいなんなんだろう。どこで私は殺人犯にならずに済んだのだろう。
そこで思い出すのが、私にとって、近代詩の言葉があった、ということだ。
室生犀星の、「故郷は遠きにありて思ふもの」という詩に、同じような孤独を生きた人がいたということを感じ取った。このところになって知ったのが、室生犀星もまた幼児期を孤独のうちに過ごした人であるということだった。けれど、その時は、そのようなことを知らずに、この人は確かに孤独を知り、そして美しい言葉を綴り、きちんと生きていたのだ-という、人生の目標のようなものができたのではないかと思う。あの時代の人々は、それこそ、栄養不良になればすぐ死んでいっただろうし
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