ちょっとした秘密/ただのみきや
西野の花屋で薔薇を買った
高価だから四本だけ(バーボンに託けて)
紫の花弁が密集しておいそれとは見せてくれないタイプの娘がふたり
丁度よく開いた白い花弁になよやかに反り返る
ピンクの縁取りの娘がひとり
横に大きく広がりながら真ん中は貝のように閉じた純白
デザートと言う通り名(源氏名?)の娘がひとり
長持ちするという液体を混ぜた水を花瓶に注ぎ
裾脚を少しちょん切って
七部より下の葉もみんな
それがもう二週間と一日
薔薇たちは美しく咲いている
さすがに今日は少し端っこが黄ばみ出したが
葉を切った所からもう五センチも新たな枝が伸びている
こんなの初めてでなんだか
ことさら薔
[次のページ]
戻る 編 削 Point(13)