冷酷な天使のしわざ/こたきひろし
 
草木も眠りにつく時間の
筈なのに
街はうっすらと目を開けていた

コンビニの明かり
その駐車場
寝静まる民家
周辺の道路
道路の端には
電信柱が無言のままに
立って並んでいた

どこからかやって来て
うろつく野良犬が一匹
なぜか大きな包帯を腹に巻いていた

その腹は異常に膨れていて
何か悪い病気にかかっているんだろう
包帯には犬の体液らしき物が染み付いて渇き
不衛生に汚れていた

犬に首輪は巻かれていなかった
きっと飼い主の誰かが外して
野良犬にしたんだろうが
その経緯はわからない

近くの電線に
いつの間にか黒い羽をつけた天使が止まっていた
時おり気味の悪い鳴き声をさせる
野良犬はすっかり弱っていて意識が朦朧としている様子だ

羽の黒い天使は
冷酷に時が来るのを待っている

ああ
食物の連鎖
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