さよなら。あなたの細い右腕/かんな
ねえ、さよならをしよう
後ろ向きに流れるメロディ
誰かが世界のしあわせを歌うよ
アスファルトを強く蹴る
自分ってなにか
求めすぎて自販機で炭酸飲料のボタンを押す
すべてが泡となって足元を濡らす
コンビニで正解を買いすぎて
売り切れちまった煙草をふかす
海辺と書いてひとりぼっち
夜中の電話は誰も取らない
夜道のかげぼうしがついて来る
月が照らしだす間違いや後悔を
スケッチブックに書き殴る自分の残像
ねえ誰か聞いてくれよ
知ったかぶりの言葉たちを
かき集めるしか脳がない
くだらないから意味があるって
思いたくて明日が来る
待っていたって誰も来ない夕ぐれ
公園のベンチでひざを抱える
ひとりよがりでこどくなふり
泣いたふりして傘をわすれる
ねえ、さよならを言うよ
しあわせを歌う誰かのとなりの
言い訳がましい人間のふりした自分に
傘をさしだしたあなたの右腕が
細くて白くて泣いてしまったんだ
戻る 編 削 Point(4)