詩からの解放/こたきひろし
 
落ち着かないんだ
四六時中空気のある所にいないと

落ち着かないんだ
公衆トイレで用をたしていても
ついつい詩が思い浮かんで

落ち着かないんだ
彼女とメイクラブしてたのに
急に詩から呼び出されて
逝くにいけなくなった
途中だから彼女は不機嫌になるし
申し訳なくて
復活戦に挑むが
すっかり萎えてしまっていて
言い訳に
言い訳を重ねる羽目になったが
彼女はついに怒るし
私は焦るし


落ち着かないんだ
本当に
落ち着かないんだ
空気のある所にいると
いつだって
どこでだって
詩があらわれて
私の前にペンをつき出すんだ

もういい加減にしてくれ
私を解放してくれ
詩のない世界へと

でも
先天性詩依存症の私が
詩を失ったら
どうなるんだろう

きっと脱け殻
人間の残骸になってしまう
かもしれない
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