入浴/
八五郎
特別なことがなかった一日の終わりに
薄く張った汗を引き剥がす
それに刻まれた一日の疲労を
しばらく眺めて排水口に流す
のたくった髪の毛にすがるように
なかなかそれは流れて行かない
灰色の泡が 手招きをする
汚れた下水管を共に旅しようと
少し前ならそうしたかもしれないが
僕はすっかり気が晴れていたので
シャワーを強めてさようならをした
真新しい下着が 待っているから
戻る
編
削
Point
(1)