「雨の工場」/ベンジャミン
 
 
はるか空
最近は見上げることを
忘れていた気がする

それは足もとの水溜まりを
下を向いて避けながら歩く日が
続いているからだと思った

はるか空
そこには雨の工場があって
せっせと降らしている

世界から集めた
悲しいことたちなんかと
舞い上がった水蒸気で

こらえられなくなったら
そうして落ちてくる

だからって

今日は何となく悲しいなんて
それはきっと気のせい

そうやって降ってくる雨を
瞳に映して見上げたら
何だって悲しい

はるか空
雨の工場が今日も働いている

僕らが見上げることを
忘れないように

いつも晴ればかりじゃないことを
思い出させるように

はるか空で
 
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