内出血/ただのみきや
赤い△が止まれと命じる
空虚な舞台
赤ん坊と抱っこ紐の母親が上手から登場
枕木しかない吊り橋を踏み外しながら
舞台中央 立ち止まってふり返る
もう一人の子の名を呼ばわって再び歩き出し
下手へ退場
小走りで幼児登場
幼児は何もない所で見事に転倒 まったく自然体の天才子役
見るものをヤキモキさせながらなんとか下手へ
今度は下手奥から老人が斜めに長く距離をとり登場
靴のサイズと思しき歩幅のすり足でゆっくりだが
急いでいるのが伝わって来る燻し銀の名演技
一見なだらかに見える川を渡りは始める
真っすぐ前だけ見てあえて狭く焦点を絞るように脇目は振らない
そこへ観
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)