内出血/ただのみきや
 
  光に眩む草刈りの
  発動機の音
  青々とした虚無に吸われて
  日めくり捲る孫の手中
  また皆殺しの夏が来る


「頭のいい憂鬱はよろしくない 理屈っぽいのは特に
「そんなやつにはうわの空で適当に相槌打って

「理屈っぽい空元気には寝たふりだね

「憂鬱に長けた人は歓迎だ いっとう酔狂を演じよう


  言葉に仕草や息づかいを与えるのは人
  言葉に息を詰まらせ声を荒げるのも人
  言葉に手綱をかけようとして義父さんは
  言葉に蹴られて死んじまった


「つまらない買い物をしたな

「おれにとっては価値あるものだよ

「つまり見方しだい
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