傾いていく夜/長崎螢太
 
虚しさは、ろうそくの炎のように揺らめいて
正体を見失う
スマホをスクロールさせても、行き過ぎてしまって
たどり着きたい所にはいけない
私たちは正しく嘘を、粉飾できないでいる

街灯ひとつで照らしだせる不安の膜外で微睡んでいる
ガラス越しの外気の凍てつく画像の中にいる
10秒チャージの朝食の食卓にいる
想像することは、容易いことだけど
歯を食いしばり立ち上がる人を、斜めに見みながら
私たちは、何をうしなったんだろう



ぼんやりとひかるデジタル時計の
午後12時から午前0時に切り替わるしゅんかんに
1クロックごとの瞬きは
美しく壊れやすいジグゾーパズルのようで、
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