羊水の湖/両性具有
羊水の香りがした
その香りに手をひかれて
たどり着いた湖畔の茂みで
ぼくは義足を脱ぎ捨てて
エラで息を吸い
体を翻し、錆びた銀の鱗に
月光を砕いて踊り飛び込んだ
死期の近い動物のように
ずっと眠りに浸っていた
君を蹂躙する自慰の間は
生きる喜びに満ちていた
射精後の空白に
夏の午後のきらめきが燃えて
破水した夜の闇が
君の女陰からこぼれ始めて
欲望の嵐がずっと吹き荒れた
羊水の水面に浮かんで
僕は君の肢体を
深い青の夜空に眺めている
君の胸のなかで
絶命する瞬間を夢見ている
命の抜け落ちた肉の器となった
僕の耳に君が泣きながら囁く
やさしい子守歌を聞いている
青く淡い
羊水の湖で
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