雪〜バイノーラルならば雪/黒田康之
 
なんだよって言ったけれど
私は私の頭上へと吹き上がっているのでした
 いい子にするんだよといっておじいちゃんは笑っていました
どこか知らない街の
 おじいちゃんは今も元気で田舎で畑を耕しています
誰でもない自分に向かって
 もしかしたら明日こそうまくいくかもって思います
吹雪を突き抜けて飛翔するとき
 だからもう寝ますね
僕は僕でないという思い出とともに
 おやすみなさい
僕でない時間が始まったことを知ったのです
 明日がいい日でありますように
明らかに白日夢ではない現実として
 そしてそれがあなたにも
明日からの僕の始まりになるのです
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