雪〜バイノーラルならば雪/黒田康之
なんだよって言ったけれど
私は私の頭上へと吹き上がっているのでした
いい子にするんだよといっておじいちゃんは笑っていました
どこか知らない街の
おじいちゃんは今も元気で田舎で畑を耕しています
誰でもない自分に向かって
もしかしたら明日こそうまくいくかもって思います
吹雪を突き抜けて飛翔するとき
だからもう寝ますね
僕は僕でないという思い出とともに
おやすみなさい
僕でない時間が始まったことを知ったのです
明日がいい日でありますように
明らかに白日夢ではない現実として
そしてそれがあなたにも
明日からの僕の始まりになるのです
戻る 編 削 Point(1)