夏の通り雨/
長崎螢太
降る雨に憮然と私を晒しても
乾くまもなく次の通り雨
紅(くれない)の夕焼け空に見えるのは
積み重なった寂しさの雲
羽ばたきを知らずに堕ちたさなぎでも
夢のまにまに大空を跳ぶ
ひかり舞う夏の大気のその中に
うまれる胞子弾けてきえた
朝夢のにがい後味を消すために
砂糖を抜いたコーヒーを飲む
カーラジオから流れるジャズの音が
窓に滲む夏の通り雨
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