饒舌なハレーションの朝/ホロウ・シカエルボク
間沈黙した、俺たちに出来る会話といえばそれだけしかなかったのだ、「次の電車、乗ります?」「それを考えているところだね」「もし、よかったら、廃屋に行ってみません?」女はそう言っていたずらっぽい笑みを浮かべた、「廃屋があるの?」ええ、と女は頷いた、「その林の奥に」女は単線の線路の向こう側の林を指差した、「興味あるんだけど、ひとりじゃ怖くて」なるほど、と俺は頷いた、行く理由もないが、断る理由もなかった、そして、時間はたっぷりとあった、いいよ、と俺が言うと女は嬉しそうな顔をした、そうして俺たちは駅を抜け、林の奥へと分け入った、十分ほど緩い斜面を上ったところに、それはあった、それは古い日本家屋で、縁側に面し
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