かげおくり/
帆場蔵人
自分が動けば影が動くことを
不思議に思ってしまった少年は
影の、また、影の連なりに戯れ続け
いつのまにか大人と呼ばれるようになり
ふと、空を仰ぐ、影が空に送られていく
少年は空にあり空は少年のうちにあった
もう、春夏の声が舞散る
枯れ葉のみえない足音に変わり
影だけを纏い歩いていた
戻る
編
削
Point
(11)