high school girl/中原 那由多
熱視線が背中を貫く
ラムネの泡であるかのように
弾けて飛んだ笑顔の片隅
人知れずこびり付いた
青いベタつきは
一瞬にして乾く
嗚呼
一瞬にして乾く
ひらりと紺の戦闘服が
非常階段で揺らめいて
立ち入り禁止の柵を飛び越え
校舎の屋上、独り占め
さあ、蝉が焼けている
炭であるかのように
赤く
赤く
紙パックのレモンティーが
唇を伝って零れ落ちる
蛇であるかのように
あざとく
あざとく
君は夏から逃げている
構えたレンズの向こうでは
キャミソールが透けて見える
夏は君から逃げている
プールサイドのマンホールで
目玉焼きを焼いてみ
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