鏡の中の砂漠/
こたきひろし
朝
歯を洗い 顔も洗い
だけど
洗面台の鏡は覗かない
自分の顔や頭髪
見たくない
清潔でも綺麗でもない
日々美しく老いていない
それどころか
老醜が鼻をついてくる
でも
朝がくる度に
洗面台の鏡の前に立って
歯ブラシを使い
両の手で顔を洗う
それは習慣
だから
顔だって
歯だって
髪の毛だって
時が来れば
燃やされて灰にされて
しまうのにさ
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