『架空日記抄』/ハァモニィベル
 
(――さて、今此処にお見せするのは、「私が不眠に襲われる時、それは必ず夢を見ている時なのだ」という独特な名言で知られた或る人物の、長らく存在しないとされてきた仮構日記のうち、奇跡的に残存していた幻の一部であります。お読みになれば判る通り、これはまさしく『架空日記』でありますから、あくまでも仮構であること、その事をまずは読者各位 皆様にくれぐれもお断りしておきます。)




 『或る架空日記』(抄)



○月 □日
 或夜、とつぜん知らない人の書斎に案内されて、その人が生前書き残したものを読んでいる夢をみた。その夢は、あまりにもリアルだったので、正直いまもまだその夢から
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