愛情のフリーマーケット/こたきひろし
俺は嫁をこよなく愛している
二人の娘もこよなく愛している
つもりだけれど
果たしてその愛情の
重さ深さ大きさを現実には計れてはいない
およそなのだ
曖昧なのだ
いい加減かもしれないのだ
たとえばもし
嫁に他に好きな男がいて
隠れて抱かれているなんて事があるかもしれないのに
絶対にそんな事起こらないと信じるのが
愛情なんだと
俺は思っている
位が
俺の愛情の定義なんだ
だけどもし
俺になりふり構わずに言い寄ってくる
若くて魅力的な女が現れたら
それをむげに振り払えるかには
疑問符がついてしまう
か弱い男だからさ
そこは
勝手なんだよ
だってそうなったら
この男人生
二度楽しめるんだからさ
これから百年長生きできる人生なんだから
愛情なんてフリーでいいじゃないって
つい思ってしまう俺は
死んだら地獄にまっ逆さまか
だけど
地獄も天国も生きているこの世界にしか
存在しないってのが
俺の考えだから
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