倒れゆく馬をみた/帆場蔵人
 
想とか
正しさ、なんて掴めないものに
尻に火をつけられる毎日だ

川岸でずぶ濡れの身体を抱いて

なぜ、おまえが倒れたか
なぜ、おまえが息絶える
その眼に何がうつろうか
なぜ、なぜ、なぜ、と
もう聞かないでくれ

陽炎のなかに
おまえは歩み去る

走る
ことも
働かされる
ことも

なく

もう、なぜ、などと
聞くものがいないところへ
たおれゆく
馬を
うつくしいうまをみた
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