自分で自分を殺したりはしないさ/こたきひろし
きっとそのせいだろう
私は母親には感情がわかなかった
自分でも怖いくらい
冷たくてよそよそしい気持ちしかわいてこなかった
そんな私の気持ちを母親は鋭く感じとっていた
いつの日からか
母親は私の存在を疎むようになっていた
勿論
母親と私はお互いの心の底を推し量りながらも
けしてそれを確かめようなどとはしなかった
そこには根底に肉親の絆があって
切るに切れない血の繋がりがそれを辛うじて拒否していたからだ
しかし
親と子供の間にも相性がありそれを否定する事はできない
たとえ肉親同士でも愛情の密度は公平に保たれてはいないと
私は子供の時分からすでに悟ってしまって
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