自分で自分を殺したりはしないさ/こたきひろし
女 男 女 女 男
私の父親と母親の間には五人の子供がいた
一番上の姉と一番下の私とは十歳離れていた
長女が二十歳を過ぎた頃私は小学校の五年生だったと思う
実家は農家で 母親は農婦父親は農夫だった
生家は貧乏で それに相応しく貧相な藁屋の家だった
田んぼからは米
畑では葉煙草の生産
冬場は山仕事
夫婦は働く事に必死だったから
長女が家事の大半と弟妹の面倒をみていた
だから末っ子の私にとって
実質的な母親は一番上の姉になっていた
親身に面倒をみてくれた
時には風呂場で私の頭髪を洗ってもくれた
躊躇いもなく体も洗ってくれた
その時は姉も真っ裸だった
き
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