未完成の小編/こたきひろし
兄ちゃんも母ちゃんにしても俺に言えない秘密になるからからエロ本を盗み見たのがばれてもそれを確かめられないだろ
それに二人は大きな秘密を俺に隠してるんだ
どんな秘密
と俺は訊いた
それは絶対に言えない
とよっちゃんは答えた
母ちゃんは父ちゃんがいないからずっとさびしいんだよ
兄ちゃんは母ちゃんが大好きだからそのさびしさを慰めてあげているんだと思うだけど
とよっちゃんは秘密の断片を口にした
勿論俺だって母ちゃんは大好きだけれどさ まだ子供だから
と感慨深く口にした
その内に日は落ちて辺りは暗くなってきた
俺はそろそろ帰らなければと思った
戻る 編 削 Point(4)