梅雨空に/そらの珊瑚
 
手のひらの小鳥が
命を使い果たしていくとき
呼んだら
返事をした

それは
声にならない声
音を失った声は
振動だけになって
手のひらをかすかに震わせた

あれはやっぱり声だった

命は生まれてから
引き算や足し算を繰り返して
ゼロになる前に
ぎゅっと何かをふりしぼる

いっとき銃撃戦が途絶え
梅雨空は
白いやわらかなまぶしさ
想い出すのは
巣立つ前に墜落したあの子の
空気みたいなぬくもり

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