不自然な迷子に関しての思惑について/ホロウ・シカエルボク
やりと上体を起こして、ふと自分が眠っていた畳の床を見ると、夢の中から連れてきたような少女の生首が、切り口を畳にくっつけた状態でぼくを見ていた、その目の中にはなにもなかった、人形の目のようにただそこに在るだけだった、どれだけ時間が経ったのか、完全に夜が明けた頃、別の世界に逃げるみたいにゆっくりと消えた
ぼくは立ち上がり、もう一度しっかりと畳を見た、派手な染みでもあるのかと思ったが、ただの古い畳があるだけだった、ぼくは首を振り、上着を取り、袖を通してそこを立ち去った、ビルを出て、元来た道に戻ると、海の反対側には小さな山脈があり、ふもと辺りにはまだ新しい感じのバイパスが通っていた、僕はもう一度首を振って、その方角を目指して足早に歩きだした。
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