歩行器とロックンロール/
服部 剛
――あらそうなの、坊っちゃん元気?
――今日も笑顔で支援学校に行ってます!
――あらそう…よかった
――暑いから、水を飲んでくださいね
――ありがとう
陽炎ゆれる向こうの
古い平屋の待つ方へ
くの字の腰を少し伸ばす婆ちゃんの後ろ姿
ゆっくりゆっくり歩いてゆく
ロックンロールを聞くために
僕はディスクマンの再生ボタンを、押す
鞄に入れて 立ち上がり 歩き出す
川の方から吹いてくる
初夏の風に呼ばれるまま
目指す
今日の駅へ続く道を
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