夜中に母親が現れて/こたきひろし
昨夜は死んでいる自分の夢を見た
まだ息を引き取って間もない自分の体だった
死んで間もない自分の心は
遺体から抜け出していた
遺体から抜け出した自分の心は
直ぐには天国へは昇れなかった
て言うか
その先天国へ昇れるか
地獄へ落ちるかは
自分では決めれないんだろう
それから先の自分の遺体の推移を見守らなくては
ならなくなった
何の前触れもなく
女の人が突然にあらわれた
どなたですかと訊いたら
お前の母ちゃんだと答えてきた
何言ってるの
母ちゃんはとっくの昔に死んでいるから
と言ったら
お前こそ何言ってるの
お前も死んでいるんだよ
死にたてだけれ
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