手すりの感触はもう忘れたけれど/noman
 
気温25度ぐらいの
する事のない晴天の日は
それ自体がひとつの音楽だ
階段を登って空を見上げると
悲しい思い出が粘度の低い唾液となって
唇の端から漏れる
引き延ばされるありきたりなフレーズ
反復される単調なビート
熱も 方向も なく
眠そうな青空の下
希薄になり続けながら
決して消えることはない
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