づきづきと心が痛んで/こたきひろし
 
ように言われてしまいました
僕は心の中で「それって先生の役目じゃないですか」
と主張したかったのに
それが言えずに引き受けてしまいました

同時に 僕は内心
もしかしたらお姉さんに会えるかもしれないという期待に
ときめいてもしまいました

僕も正男君も自転車で中学校に通学していました

正男君の家は大きくて広い庭でした
僕はいつもそばを通り過ぎるだけで
一度も立ち寄った事のない家を初めて訪問しました

玄関の近くに正男君の自転車は止まっていました
僕は正男君を呼びました 何度も呼びましたが返事がありませんでした

なので僕は家の裏側に回りました
窓がありました 少し開いてました
僕はそこから覗きました

正男君のお姉さんが見えました
セーラー服を着ていました そばにもう一人女の子がいました
中学の女子の制服を着ていました
お姉さんとそっくりでした

お姉さんのおさがりを着ているに違いないと僕は思いました
僕はその時
見てはいけないものを見てしまった

思いました

そして言葉を発してしまいました
正男君


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