ヒラヒラと舞い降りて/こたきひろし
 
恋心がヒラヒラと舞い降りてきたのだろう

その頃わたしは夢をみない文学少女だった
なんて可愛げのない十三歳
だったんだろう

素直に夢はみればいいじゃない
語ればいいじゃない

それが
どうしても出来なくて
自分を変な形に折り曲げてしまった

だから
学校の昼休みは図書室でもっぱら読書

ふりをしていた

本当はただの寂しがりや
そしてわからず屋
なのに
だから
どうしてもクラスメートたちの
輪の中に入れない

自分を明るく演出できなくて
太陽よりも
月の明かりを選んでしまった

わたしは
その時十三歳だった


前触れもなく現れた
じゃなくて
告知はあって
わたしの脳内に伝わらなかった
のかもしれなかった

恋心って奴が
突然やってきて

夢をみる文学少女に
一編の恋愛の詩をもたらして

あっという間に
風のように消えてしまった

教育実習生
だったから

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