写真は真実をどこまで写せるか/こたきひろし
 


彼に理由を聞かれたり問い詰められたりしたら
素直に答えられない自分と
それを
極度に怖れる自分がいるのに

わたしは嫁入り道具といっしょに
実家から持ってきたのは何でだろう
もしかしたら
彼に
貴方は代用品と言いたかったのかもしれなかった
いまだにくすぶる思いがわたしの中にあるからかも
しれなかった
青春の思い出って
ものに

写真を撮られたり
撮ったりすると
魂を吸いとられるらしい

そんな非現実を
わたしは信じていた頃
わたしは初めて男の人を
体験していた
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