旧作アーカイブ5(二〇一六年四月)/石村
 
うして私は生きてゐるのか と思つた

透明な疑問


(二〇一六年四月二十七日)




  星


星を見てゐる私

はるか昔に放たれた光と私

この光が放たれたときそこにゐたあなた

あなたはいま
どこにゐるのですか 何をしてゐるのですか

私がはなつ このほそい光は
いつ どこで たれが見るのですか



  花


胸のそこにずつと ひえびえとしたものがあつて 苦しい

花が咲くところをしづかに見てゐたい



  夜


夜がきた

このまま朝にならぬ日がいつかくるやうに想ふ

夜がふけた ひとびとはねむる

私もねむる



  たんぽぽ


私の野原には

風が鳴らす竪琴なんて しやれたものは置かれてないが

ふまれてもまた起き上がつてにつこり笑ふ

かわゆいたんぽぽなら いつぱいゐるんだ



(二〇一六年四月二十九日)




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