生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
さらに苦しむらしい。その感じも、僕には分かる気がする。僕が本当に苦しかったとき、母はもちろん一緒に苦しんではくれなかったし、どちらかというと僕の病気に対して不機嫌であるように、僕は感じたからだ。でも、母のその態度が、実は最善だったのだ、と今なら分かる。親身になったり、一緒に苦しんでくれたりしたら、僕は寧ろ、病気の一番悪い状態にどっぷり嵌まって、抜け出せなくなっていたかもしれない。クールにドライに、薬を飲んで栄養を摂って眠って、「調子はどうだい?」「まあまあ」とか言っているのが、精神病の回復には、一番いいんじゃないかと思う。辛いことだけれど、同情を求めてはならない。

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 幻覚や妄想のこ
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