生きてきたこと:Part 2.1/由比良 倖
 
かった。だって、どう見ても、確かに、僕の考えをまるまる剽窃しているのが、明らかなのだから。そのとき僕は、もともと日常空間とは大きくずれた、妙に平面的な世界にいる。その、妙な世界、が、頭のおかしい世界なのだ、と言うことは出来る。僕は、僕の考えが盗まれたことを確信しつつ、しかも自分の状態をおかしいと感じていた。僕は今、違う世界にいるのだ、と考えた。それで、やはり薬を飲んで眠った。起きると、そんな馬鹿なことがあるものか、何を考えていたのだろう?、と当然のように思った。つまり、僕は、妄想を抱くことがあったのだけど、そこから自力では抜け出せずに、いつも薬に頼っていた。薬抜きではおそらく、その間違った確信から
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