冬がくる前に/こたきひろし
ラスメートたちは嘲笑と歓声をあげた
私はその時左目が机の角に当たりそうになった
危なくそれたが
激痛を感じて目を手で押さえた
それを見て誰一人駆け寄りいたわる者はなかった
間もなく休憩時間は終了し
担任があらわれたが何事もなかったように
クラスメートたちは席に着いた
担任は席から離れ立ったまま目の辺りを手で押さえ痛そうにしていた私に気づかない訳はなかったが
何も見ないふりをして私に自分の席に着くように促した
その直後私は激しい怒りを感じて教室を飛び出した
しかし
誰も私の後を追いかけては来なかった
私は全力で校内を駆け抜け自転車置き場に行った
その時
私は私自身の運命を呪った
救われる事のない自分が哀れで可哀想になった
目をあげて空を見ると
日は傾いていた
晩秋の空気が充満し
非情な冬の気配がしていた
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