木蓮/長い祈りから/
嘉野千尋
幸福を抱きとめて静止するあなたは、蕾のすがた
胸に手をあててわずかにうつむくその、
長い祈りにも似た、沈黙
春を知る朝の、淡い喜び
風が冷たくても、
その中で木蓮の花枝は揺れる
揺れて、綻ぶ
天に向かって開かれる花の形
長い祈りから、
そっと立ち上がるようなその、
あなたのすがた
長い長い、祈りから
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