不老と不死の薬草/こたきひろし
そのとき
私はゆうに百歳を越えていました
しかし
若い頃に思ってもいなかった長寿は
私に多くの不幸をもたらしました
私の周りは皆死んでしまい
私は見事に一人ぼっちになってしまいました
なのに私はいっこうに衰えずますます元気になっていくんです
これはおかしい異常です
年甲斐もなく全てが元気なのです
その元気さ加減は突然変異かもしれません
若い女性の一人や二人
メロメロにさせたとしても
まだ余裕なのです
これはおかしい
異常です
それで世間は
あらぬ疑いをかけてきました
私が不死と不死の薬草を栽培し
それを天日に干して乾かし
こまかくして
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