私というものを感じて/あおいみつる
長閑な昼下がりに私は私を感じている
私という心 いや、魂のからくり
そして色 何層にも重なった記憶
またDNAにより受け継がれた連鎖のストーリー
それらを断ち切ることのできない無力さ
なるべくしてこのように導かれ
逆らうこともできず 偶然でもなく必然で
また外側のテントのような私の幕屋は
蔦のように絡まる細胞
食道を通し栄養を補給し消化器で分解吸収し
骨と肉が輪郭を形づくっている
私という個体
それに心 魂が住みついている
もしも心がなければ生物学的には
動物というより植物のようにも思える
そんな個体がこの街で今日も呼吸を繰り返し
心臓の鼓動に助けられ
意思と感情と義務と信仰
身についてしまった行動形式により暮らしている
そんな現実でもあり非現実的な世界
そこでの人格的な交わりと肉体的な交わり
なんともシュールな人の営みの過程であろうか
犬の遠吠えが聞こえてくる長閑な昼下がり
遠ざかりそうになる意識の中で私は私を感じ
また世の人々を感じている
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