知らない道で親し気に話しかけてきた男/ホロウ・シカエルボク
バッグでも持ってたんじゃないのかな、そんなもんでもなけりゃうまく逃げられないだろうからね、おそらくだけど、事前に車でも盗んどいてさ、少し離れたところに止めてあったに違いないよ、ちょっと南に大きなホームセンターがあるだろ、たぶんあそこの駐車場だよな、なにしろ馬鹿でかいからな、あそこの駐車場はさ、警備員はいることはいるけど、出口の交通整理くらいだし、それに、何人いたってすべての車のチェックなんか絶対に無理だろうからな、うん?ずいぶん詳しいねって、おいおい、やめてくれよ、そんなふうにからかうもんじゃないぜ、おれ、そういう小説読むの、好きなんだ、バンカーとかさ、そういう物語に出てくる悪事の常套手段ってやつ
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