種/アンテ
街のはずれに住む少年は
毎日小さな畑を耕して
わずかな食べ物を得てひっそりと暮らしていた
その日も畑を耕していると
一人の旅人が街にやってくた
旅人は大きな重いカバンを背に負っていて
中にぎっしりと種が詰まっているせいで
ほんの数歩進むごとに
休憩しなければならなかった
カバンの開いた口には
小さなうす桃色の花が咲きそろい
枯れると大量の種になって
口から溢れて地面に落ちた
種は芽を出してみるみる育ち
食べ物や道具になったが
どれも腐っていてとても役に立たなかった
街の住人たちは腹を立てて
旅人を街から追い出そうとした
ところが旅人の身体は重く
持ち上げよ
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