木片/はるな
 

春のきえた街で
まぶたをあたためる
うす水色の すき間たち
ここには空気がある

それは水に浮くような恋であったよ
雨でも嵐でも
沈めても沈めても
思惑とはべつのばしょから浮いてくる
罪のない木片であったよ。

手ごたえのない夢のなかで
たった一粒の砂を見つけるみたいな
どん底の幸福であったよ。


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