漂う夢/シホ.N
 


春が僕を
けだるい空気へ
誘いこむ

失われた夢のように
消えてゆくのは
あおい春

夢を
夢と認識するために
毎日めざめる

夢では現実を
目覚めれば夢を
忘却するばかり

目覚めなければ
夢は
永久に閉じられた
異世界
という死

個人的であり
普遍的でもある
了解不能の世界

世界中に
漂う夢らは
見えない
会わない
質量もない


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