壁を這うワニ/即興ゴルコンダ(仮)投票対象外/こうだたけみ
 
反対な彼女と私。友人関係が十五年以上つづいているなんて不思議だ、と自分でも思う。
 行動力があって新しい物好きな友人は、IMT行きが若干つまらないらしい。長年の付き合いだ。テンションの上がらなさでわかる。プラネタリウムに誘ったのは自分だから、まあ付き合ってやるか。そんな感じ。
 私は、好きなものは飽きるまでリピートするタイプ。だいたい半年ぶりに行くIMTにとてもワクワクしていた。
 休日のIMTは、さすがに普段より人が多かった。すぐに展示室へ向かおうとする私を友人が引き止めて言う。
「私、これ好きなんだよね」
 入口を入って左手。下のフロアと上のフロアをつなぐ階段の壁に、まるで這うように展示された大きなワニ。
「うん、私もこれ好き!」
 彼女と私はまったく違う。けれど、少なくともこの壁を這うワニがつないでくれる。それでは改めて、展示室に所狭しと並べられた骨格標本に挨拶を。
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