*アイスピックララバイ*/終
「魚の目ん玉だったら、コラーゲンだし、役にも立つのに」
そう吐き捨ててアイスピックを洗いに踊り場へ
階段の壁面に喰らいついている蛇口をひねる水は冷たい
目ん玉は、掌の上で宙に飛び出したがっている
花粉症のせいか少し充血しているようだ
白目を握り潰して浴槽へ放り投げる
黒目には細い針を刺してやる
一本づつ外側から
「魚の目ん玉だったら、コラーゲンだし、役にも立つのに」
この目ん玉、焼くにも煮えない
ぷつんと剥がれ落ちる穴から迸る堕液
燃える塵にも燃えない塵にも分類できない
排水溝に針がひっかかって
茹でられた白身のようにぷ
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