*アイスピックララバイ*/
 



「魚の目ん玉だったら、コラーゲンだし、役にも立つのに」


そう吐き捨ててアイスピックを洗いに踊り場へ
階段の壁面に喰らいついている蛇口をひねる水は冷たい

目ん玉は、掌の上で宙に飛び出したがっている
花粉症のせいか少し充血しているようだ

白目を握り潰して浴槽へ放り投げる
黒目には細い針を刺してやる
一本づつ外側から


「魚の目ん玉だったら、コラーゲンだし、役にも立つのに」


この目ん玉、焼くにも煮えない
ぷつんと剥がれ落ちる穴から迸る堕液

燃える塵にも燃えない塵にも分類できない

排水溝に針がひっかかって
茹でられた白身のようにぷ
[次のページ]
戻る   Point(11)