自慰/こたきひろし
私の母親と違い
女のこの母親は都会から嫁いで来ていて
その均整のとれた体と美しい顔立ちは
農家のお嫁さんには異質だった
私は小学校低学年ながら
その母親から発散されていた
女の人の性の芳香に刺激されない訳にはいかなかった
すべては遠い日の記憶たったが
鮮明に刻印されていた
私は
あの日あの時の光景を思い出して
性的興奮し
何度
自慰をしただろうか
あの淫靡な空気が脳裏に蘇り
絶頂に達した時
脳内に分泌される麻薬の成分がもたらすと言う快感
は
癖になってやめられなくなった
そこには
人間の愛なんて存在しない
本能に導かれた
獣の世界
は
神が与えた
生き物のよろこび
しかし
それは人として
どうしても隠さなければならない
条理
だけど
極めて自然な行為
何一つ恥じる事はない
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