新しい明日(蛇女の影)/秋葉竹
海蛇は
叶わない愛なんて知らないって言ってた
幻の夜、
ボタンの落ちた砂浜に
砂の城がまだ崩れ切ってはいなかった
知ってる
紫の夜空に浮かぶ
白い雲が
地上に降り立ちたい、って
みんなを愛しているから、って
あした、
一匹の蛇女が
ひとりぼっちで浮かぶ雲を見る
かなた水平線の青空を見る眼には
あたたかい虹色が浮かぶ
そこにあるあたたかさとは
まるでべつの陽光を
その身に浴びることになるだろう
その風景は一幅の絵となり
いつまでも見る人の心を
しっとりと濡らしつづけることだろう
掠れた蛇女の声が
風に乗って
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