居場所 〈彼女の猫とソネット〉/高林 光
 
 窓際に置かれた背の低いチェストの上で
 春の雨上がりに光る
 束の間のまぶしい陽射しに
 君はまた新しい居場所を見つけたんだ

 少しずつ変わっていくこの部屋で
 微かな戸惑いをやり過ごして
 彼女の変わらない眼差しに
 僕はただ甘えることしかできないでいる

 気ままにふたりのあいだに入って
 短く鳴いた君は
 斜め上の彼女をじっと見つめて

 僕が知らない何もかもを解かしてくれる
 彼女のやわらかな指先の感触を
 ただ黙って待っている


   〈彼女の猫とソネット 2〉

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