青春と詩/立見春香
ゆび
わたしをさしつらぬくひとさしゆび
ええ、ええ。
そうですとも。
諦めることなんてわたしの青春で
もう、何度も何度も味わわせていただきました
詩は詩人によって書かれることが
ないというどころか
詩人は世界に存在する意味がないと
告げられた月の川を探していたあの夜
わたしのくろくがさついたむくんだくびが
ことりと落ちた音を聞いたのです
それが空からの最後の鎌の一振りだったから
わたしの青春で詩なんて
詠んでる意味なんてないはずだったのに
なんでまだこんなにも終わっていないんだ
諦めたはずなのに
もうわたしの
飾らない言葉を伝えて
心を知ってほしいという夢を夢として
閉じこめてしまったはずなのに
あの夜ちいさな命に蓋をして
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